伊根町伊根浦伝統的建造物群保存地区

更新日:2024年03月21日

ページID : 0119

保存地区の概要

保存地区の名称

伊根町伊根浦伝統的建造物群保存地区

所在地

京都府与謝郡伊根町字日出、字平田、字亀島の各一部

面積

約310.2ヘクタール(東西に約2,650メートル、南北に約1,700メートル)

選定地区の中では、長野県南木曽町 妻籠宿の約1,245.4ヘクタールに次ぎ2番目に広い面積です。

種類

漁村

重伝建地区の種別には、それまで漁村としての選定はなく、重伝建地区選定に新しい可能性を示し、また、選定区域内に海が含まれることも重伝建地区としては初めての例でした。

建造物等の数

主屋133、舟屋113、土蔵130、その他64、工作物5、環境物件15
計460件

選定地区の中では、奈良県橿原市 今井町に次ぎ2番目に多い件数です。

赤線で示した保存地区範囲図

保存地区の特徴

伊根の史料上の初見は、建久2年(1191年)「長講堂所領注文」にみられる伊根庄とされる。宮津市の日吉神社には天文18年(1549年)の年号が書かれた棟札が残り、そこには伊根庄の有力者の名前があることから、中世中頃には伊根庄には集落が形成されていたとみられる。

元和8年(1622年)、京極高広が宮津藩主となり、旧伊根庄の村落を含む158か村を藩領とする。延宝5年(1680年)、日出村は天領となるが、宝暦9年(1759年)に再び宮津藩領となる。享保11年(1726年)、伊根浦は日出村、平田村、亀島村の3か村とされ、江戸時代中期には、現在の伊根浦を示すようになったとみられる。伊根浦では、江戸時代初期までは湾内漁業が中心であったが、寛永年間(1624年~1643年)には湾外でも漁業が行われるようになり、現在に至るまで漁村として維持されてきた。

保存地区は東西約2,650メートル、南北約1,700メートル、面積約310.2ヘクタールの範囲で、伊根湾東岸は南から亀山、耳鼻(にび)、立石、大浦、西岸は南から高梨、東平田が並び、高梨の西に日出が位置し、これら海岸沿いの集落とその背後の山林及び青島を含む伊根湾からなる。集落背後の山林は、下に黒松や椎の木、上に赤松や欅、栗の木などが茂り、良好な魚付林となる。

青島は、面積計約5ヘクタールの大小二つの島からなり、島内には元和5年(1619年)創建と伝える蛭子神社をはじめ、宝蔵院跡、弁財天跡、鯨の墓などを残す。青島は古くから樹木の伐採が禁じられ、古木を良く残す。

保存地区には、伊根湾岸に沿って舟屋が連続して建ち、昭和6年から昭和15年にかけて整備された道路を挟んで山側に主屋、蔵などが並ぶ。主屋や蔵は傾斜地に建つものも少なくない。

伊根浦の町並みを特徴づけるのは、海岸沿いに連続して建つ舟屋群である。舟屋は切妻造妻入で、かつては草葺であった。古いものは木太い椎や松材を構造材として用い、基礎石上に若干の内転びをもつ柱を建て、妻側は駒形の立面とする。湾から舟を直接引き入れるために、湾に接した妻面下部の間口全体を開放とし、内部に石敷の斜路を設ける。上部は網を干し、漁具などを格納するために使われた。現在は二階建とし、二階を居室とするものが多い。

主屋は、切妻造平入が多く、通り沿いには縁を設け、エンガキと称する建具を設けるものもある。平面は、広間型三間取を基本とし、やや狭い土間を設ける。広間は高い位置に梁桁を組み、その上を竹簀子天井とする。また、天井を低い根太天井として、つし二階とするものもある。土間上部にはタカと呼ばれる中二階を設け、またナンド上部を中二階とするものもある。

江戸時代末期から昭和初期に建てられた伊根湾沿いに連続して建つ舟屋及び主屋、蔵、寺社などの伝統的建造物を残す漁村であり、青島と伊根湾およびこれらを囲む魚付林などの周辺の環境と一体となって歴史的風致を今日に良く伝える。

海に一隻の漁船が停まっており海沿いに舟屋が並んでいる海から見た舟屋のまちなみの写真

重要伝統的建造物群保存地区 選定の経過

伊根町教育委員会は、平成17年3月1日火曜日に開催された保存審議会より「保存地区の範囲、保存計画策定について」の答申を受け、3月2日水曜日に保存地区並びに保存計画の告示を行うとともに、同日付で文化庁へ国の重要伝統的建造物群保存地区選定のための申出を行いました。

その後、3月中旬に国の文化審議会が開催され、3月21日、22日には文化審議会の調査部会委員と文化庁並びに京都府による現地確認及び調査が行われ、景観、伝統的建造物などが確認されました。また、住民の皆さんの保存に対する思いや意気込み、伊根町の保存対策、景観保全、町づくりなどについての聞き取り調査も実施されました。

その結果を受け、4月22日金曜日に開催された国の文化審議会で、伊根浦伝統的建造物群保存地区を国の重要伝統的建造物群保存地区へ選定するよう文部科学大臣に答申がされ、この年の7月22日発行の国の官報に掲載され、伊根町伊根浦が国の重要伝統的建造物群保存地区として選定となったものです。

選定理由

重要伝統的建造物群保存地区選定基準は次のとおり3つあります。

(選定基準)

  1.  伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
  2.  伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持しているもの
  3.  伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの

伊根浦は、このうちの「3. 伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの」により選定されました。

京都府内における選定地区

国の重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)としての選定は、京都府内では、平成5年の南丹市美山町に続き6地区目でした。京都市内では、産寧坂、祇園新橋、嵯峨鳥居本、上賀茂が選定されています。伊根浦が選定された同年12月に選定された与謝野町加悦とあわせ、現在京都府下7地区が選定されています。

関係冊子等ダウンロード

外部リンク

地図情報

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会社会教育文化財保護係
〒626-0493 京都府与謝郡伊根町字日出651番地
電話番号:0772-32-0718
ファックス:0772-32-1222
教育委員会社会教育文化財保護係へのお問い合わせ